<前書きより抜粋>
山あいの小さな城下町で暮らした4年−田舎暮らしのすばらしさを存分に昧わいました。
田舎ぐらし、と聞くと、多くの人が「美しい自然にかこまれた不便な生活」をイメージするのではありませんか。でも、わたしが住んだ町は、自然の美しさだけでなく、都会的なよさも取り入れてあって、国際的な町でもあるのですから、けっこうりっぱな田舎町である、とまず申しておきましょう。
都会のすばらしさをあらわした本は無数にあります。それにくらべ田舎暮らしの良さを伝える本の少ないこと。
あったとしても、はやりのアウトドアもので、自然と一時的につきあって都会へ帰る人のものばかりです。
日常生活を営む普通の田舎暮らしの良さをあらわした本はまずないのです。
外から町へ来た人のほとんどが、わたしたちの町をほめてくれます。
しかし、町の人たちにとっては、美しい自然にかこまれてくらすことはあたりまえ。
先進的な自治体と賞されても、外との比較ができにくいので、何が良いのかわからない人が多い。
そんな人たちにも読んでもらい、田舎ぐらしに誇りをもってほしいというのが本書を執筆した動機のひとつです。
わたしたちの町は、この20年、「小さな町の大きな実験」と称されるさまざまな先駆的な取り組みをしてきました。それらはすべて、田舎暮らしの質を高め、一流の田舎町を作ろうとしたことからでした。
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